スラッシュコード / オンコード

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今まで紹介した基本的なコード以外でよく使用されるコードに、『スラッシュコード』『オンコード』があります。
これらの組み合わせは非常に数が多く覚えにくいですが、コードアレンジの際には非常に便利です。

スラッシュコード/オンコードとは

『スラッシュコード』と『オンコード』は同じコードを指したものですが、コードの表記方法によって呼び方が変わります。
別の呼び方・書き方で『分数コード』というものもありますね。

これらすべてを含めて『オンコード』や『ポリコード』と呼ぶ場合もあります。

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どちらを使用するかは譜面を書く人の好みで変わりますが、この記事では特別な場合を除いて表記は『スラッシュコード』で統一しています。
筆者の場合、書き方は『スラッシュコード』、呼び方は『オンコード』と呼んでしまいます。

このタイプのコードは「あるコードが、別のルートの上に乗ったもの」です。

上下別々に考えなければいけないので、最初は少し難しいかも知れません。

このタイプのコードは、上下の組み合わせによっていくつかの種類に分類することが出来ます。

コードトーンをルートにした場合

比較的シンプルなのが、コードトーンをルートにした場合です。

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3度または5度、4和音の7度をルートとした場合、スラッシュコードとして表記されることになります。
この場合はコードの機能はもとのコードとほとんど同じだと考えて良いでしょう。

経過音的に使用したり、共通音を作ったり、コードのキャラクターを変えてアボイドノートを避けるために使用します。

【経過音的に使用する例】

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経過音的に使用することで、ベースラインに変化を持たせています。

【共通音を作る例】

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共通音を作る事で、フレーズを乗せやすくなります。

Sus4として使用する(フュージョンコード)

スラッシュコードでsus4(または7sus4)と同じ機能のコードを作ることが出来ます。

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Cキーで「G7sus4」の代わりに使用できるスラッシュコードです。
すべて3度が抜けて4度を含んでいるため、「sus4」としての機能を持ちます。

注意したいのは、「Gm7」のテンションコードとしても機能する場合があるということです。
抜けている3度が短3度だった場合はマイナーのテンションコードになります。

sus4なのかマイナーなのかは、曲のキーとコード進行の流れから判断します。

余談ですが、特に「F/G」のようなコードを『フュージョンコード』と呼ぶ場合があります。
1970年代以降、いわゆる「Fusion(フュージョン)」と呼ばれるジャンルの中で多用されたことに由来します。

このsus4系のコードには独特の浮遊感があり、それを利用して調性を半ば無視して使用することが出来ます。
実際の楽曲で使われたコード進行を例に挙げてみましょう。

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左は「ルーサー・ヴァンドロス[Luther Vandross]」「Never Too Much」という曲のイントロで使用されたコード進行を簡略化したもの。

Never Too Much – Think Like a Man (Music from & Inspired By the Film)

右は「ジョー・サンプル[Joe Sample]」の「Street Life」という曲のイントロで使用されたコード。

Street Life – The Song Lives On

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「アース・ウインド&ファイア[Earth, Wind & Fire]」「Can’t Hide Love」のエンディングで使われたコード進行を簡略化したもの。

Can’t Hide Love – Earth, Wind & Fire: Greatest Hits

他にも1曲すべてsus4系のコードで作られた「ハービー・ハンコック[Herbie Hancock]」「Maiden Voyage」など、さまざまな曲があります。

Maiden Voyage (Remastered) – ハービー・ハンコック

アッパーストラクチャーとして使用する

アッパーストラクチャーとは、「あるテンションコードの上の部分」と考えると分かりやすいかも知れません。
これは厳密に言えば、先ほど出てきた『フュージョンコード』も含まれますが、「sus4」として機能しないものとして分類することが出来ます。

ドミナントセブンスで複雑に変化するテンションは別の機会に説明するとして、大まかな考え方だけを確認しましょう。

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これは「CM7」および「Cm7」のテンションをすべて含めたものと、アッパーストラクチャーとして機能するスラッシュコードの一例です。

ここまでは紹介したものはすべて、既存のコードと同じ機能を持ち、既存のコードで代用できるものです。

不協和音として使用する

これまでは既存のコードの代用とも言えるものを紹介してきました。

対して、オンコードでも既存のコードで代用できないもの、コードとしての機能が明確でないもの、単体で不協和音となるものを作り出すことが出来ます。

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このタイプのコードは、「上に乗ったコードから導き出せるスケールに無い音がルートになっている」場合がほとんどです。
また、スケールに含まれている音がルートでも、ボイシングによって不協和に聴こえる場合と、そうでない場合があります。

こういったサウンドは、特にPOPSで使用されることはほとんどありません。

ベースラインとコードなど、複数の楽器のラインが別のキーを通る『バイトーナル』という考え方では、こういったコードが出てくる場合があります。
また、バイトーナルではオンコードの上下がそれぞれ別の和音になることもあります。

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